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知的財産委員会報告

第19回 知的財産委員会報告

 平成24年7月30日、東京・内幸町の日本記者クラブにて、第19回知的財産委員会が開催された。富士通樺m的財産権本部長の亀井正博氏が、「直面する知財の課題と制度に対する注文」とのテーマで講演を行った後、委員の間で活発な意見交換を行った。

■第19回 知的財産委員会での報告

講演:「直面する知財の課題と制度に対する注文」
    (富士通(株)知的財産権本部長 亀井正博氏) 

・知識創造の成果物の法的保護をやみくもに強化するのでもなく、成果物を全く自由に使える状態にするというのでもなく、保護と利用のバランスが必要。

・知財法制は一定の模倣を許容すべく、持つ者と持たざる者の緊張関係を調整する役割を果たす。

・『技術的』には等しく享受できるはずのICTの発展による利益が、日本では『法的』には享受できないことをどう考えるか。

・制度や規制の行き過ぎに懸念。「知財保護強化」は口にしやすく動きやすい一方で、「バランスを取った保護」は理解されにくい。

講演後の意見交換

・今後の知財戦略を考えるとき、中国とインドを見過ごすことは出来ない。日米欧の枠組みだけではやっていけない。

・人材育成に関して、省庁でも10〜15年のスパンで戦略を立てる必要がある。当面は外国から優秀な人材を持ってこなければならない。

・中小企業から、「特許戦略では戦えない」という意見も出ている。オールジャパンでの戦略が必要だが、見えてこない。

・日本では経営者や関連省庁においても、いまだに知的財産と知的財産権の区別が曖昧。

・世界各国は事業で勝つための法制度の構築・改革をしている。それができていない日本は、技術で勝っても事業で負けている。

・現在の日本の知財は、(1)変容・多様化した分野、(2)新旧のパラダイム、(3)産官学の区分において齟齬を抱えている。

・知財は本来産業界でこそ活用、議論されるべきだが、最近は研究や制度に関してのみ議論される例が目立つ。事業ありきであって、知財ありきではない。知財だけ強くても意味がない。

次回の会合

第20回会合は、10月25日(木)の午後零時〜2時に開催することとなった。
委員各氏の協議及び推薦により、次回の講演は、日本知的財産協会専務理事の久慈直登氏による、「国際競争力を左右する意匠・デザイン知財」(仮題)となる予定である。


以上


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