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知的財産委員会報告

第18回 知的財産委員会報告

 平成24年5月31日、第18回知的財産委員会(荒井寿光委員長)会合を日本記者クラブにて開催した。文部科学省研究振興局長の吉田大輔氏が「著作権制度の最近の動向」と題する講演を聞き、意見交換を行った。

■第18回 知的財産委員会での報告

講演:「著作権制度の最近の動向」(文部科学省研究振興局長 吉田 大輔氏)

・「著作権が強過ぎる」という意見もあるが、「知的創造サイクル」(著作権の保護、活用、創造)を早く、大きく回していくためには、現在の著作権を弱めれば良いというわけではない。

・創作者のみならず周辺の制作関係者へも、著作権を通じた対価の還元が必要。

・著作権の明確化と同時に、権利の制限(公共的な利益の優先、慣行、実質的な利益損害の有無などの考慮)も必要。

・著作権制度については、明確化と柔軟性の保持というバランスが難しい。

・違法ダウンロードに対する罰則の導入:刑事罰化、ただし取り締まりは困難。

・出版物に対する出版者(作者・出版社)の要望は多様であり、決して一枚岩ではない。

講演後の意見交換

・著作権といった文化的な側面だけでなく、ソフトウェア開発といった産業利用面でのコピーライトのマネジメントは、日本では弱かったのではないか。理工系の人が、MOTを活用し、知財に関してもう少し著作権に対するようなマインドを持ってビジネスにつなげていく必要がある。

・著作権+MOTによる総合的知財管理が必要、そして、それを総合的に考えることのできる人材育成が必要。

・関連分野のトップを迎え、ソフトウェア・エンジニアを対象とした、著作権や特許の利用、著作権法などに関する10回程度の講座を設定すると面白いのではないか(荒井委員長)。

次回の会合

第19回会合は、7月30日(月)の午後零時〜2時に開催することとなった。
委員各氏の協議及び推薦により、次回の講師は、企業の知的財産戦略部門での経験が豊かな亀井正博富士通(株)知的財産権本部長が行うこととなった。テーマは「直面する知財の課題と制度に対する注文」となる予定である。


以上


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