一般社団法人日本MOT振興協会

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「女性の活躍舞台づくり」委員会

第2回 「女性の活躍舞台づくり」第2回委員会報告

 平成23年4月25日、日本MOT振興協会事務局(東京・中央区八重洲)にて開催した。  まず、会議冒頭では、本年3月11日の東日本大震災からの復興を、日本社会の成長のための、より積極的な契機と捉える必要性、その際における「女性の活躍舞台づくり」の観点が不可欠なことが確認された。
 引き続き委員の麓幸子日経BP社日経WOMAN編集長から「最近の女性の活躍状況」と題する報告、委員の堀井紀壬子NPO法人GEWEL代表理事から「いまなぜダイバーシティなのか−−社会における女性活躍の現状」と題する報告に基づき、活発な議論がなされた。

経営者を含む個々人の意識変革が最大の課題

 麓委員は企業の女性活用度調査を基に、具体例とともに、企業における女性の活躍状況を紹介し、現状分析と課題を提示した。
 堀井委員はジェンダーの問題を特別視せず、年齢、障害、国籍などと合わせた社会の多様性要素の一つとして相対化する必要性を指摘した。
 議論では、女性、男性、経営者を含む社会の参画者個々人の意識変革が最大課題として確認され、それに基づき、委員の選定や講師の人選についてなど、今後の委員会運営について話し合われた。

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日本MOT振興協会の事務局で第2回目の委員会を開催した。右から國井委員長、
その左隣りは堀井委員、守屋副委員長、橋田専務理事、麓委員(左)と続く。

■第2回 「女性の活躍舞台づくり」委員会での主な意見

 当日の議題は、(1)女性活用の現状把握、(2)企業のグローバル化、多様化を背景とした女性活用推進のための課題設定、(3)今後の活動方針・・・などで、出された主な意見は以下の通りである。

(1)女性活用の現状把握

ダイバーシティが企業経営においてキーワード

・ リーマン・ショックによって、ダイバーシティ・マネジメントが広がることになった。
・ 阪神淡路大震災、チリの大地震と、震災後には女性が活躍している。
・ 震災後は女性活用のチャンスである。
・ リーマン・ショックによる心理的影響は、女性たちに一生働き続けることを消極的に選択させている。
・ リーマン・ショックによって、グローバル化、ダイバーシティが企業経営においてキーワードとなった。
・ 危機になった時こそ、女性を含めたダイバーシティが促進される。米国の優良企業を見ると、コンサルタント、薬品会社などは、本来ダイバーシティが必要な業種が好調である。
・ 大学生の就職内定率の低迷は、リーマン・ショックによる一般職の採用の鈍りと、一方でグローバル化による総合職の採用の鈍り(危険な海外に派遣できない女性の採用が低迷)によるものである。
・ 米国の個人主義に対して、社内結婚などで、女性よりも男性が出世できるように取り計らわれているなど、目本では家庭単位の価値観が社内規範となっている。

女性の活用と企業業績の向上

・ 企業の利益向上と女性の活躍には、密接な結び付きがある。
・ 女性が10年程度で職場を去ることは、企業にとっても損失である。
・ 残業で稼ぐのではなく、即効的効果で成果を上げていく必要がある。
・ 時間を区切ることでイノベーティブは発想を活性化させる。
・ 30年代前半女性は、ジェンダーを特有の問題にすることに消極的で、若い世代のキャリア志向の減退が見られる。
・ 一方で、専業主婦になれない現実、結婚しない可能性などを想定し、多くの女性が定年までの就業を想定している。
・ 企業の将来性、パフォーマンスの指標を捉えるには、5年から10年の視野が必要である。
・ 会社の業績の向上は、複数の要因によるもので、女性の活用だけでは説明できない。
・ トップの決断力が中間層を本気にさせる。

(2)女性活用推進のための課題設定

・ 生活、地域に関する女性の知識を生かす必要がある。
・ グランド・デザイン、コミュニティは、女性に限らず、老若男女、それぞれの代表が参画する必要がある。
・ 「期待」でポジションを与えられる男性と、「実績」で与えられる女性というキャリアパスの構図を変えることが重要である。
・ MOTはマネジメントの観点から、女性活用の向上に、どれだけ切り込めるか。
・ 経営陣が、女性の活用について、建前としてではなく感覚として腑に落ちて、本腰を入れる必要がある。
・ ジェンダーに関する差別は見えにくいため、より高度な戦略が不可欠である。
・ 中間層の経営に関する認識不足が課題であるが、中間層は短期的成果を求められるストレスを抱えている。
・ 出産による離職のハンデを解決するためにも、長期的な経営設計が求められる。
・ 在宅勤務に関しては、男性からも要望がある。
・ 女性をめぐる職場、家庭、福祉の環境が整備されていない中で、女性が過度に自己嫌悪になることを回避すべきである。
・ 女性の活用は制度面では整いつつあるが、実態としては始まったばかりであり、女性に自信を持ってもらうための環境整備、やる気を伸ばすステップを用意する必要がある。

(3)今後の活動方針

・ 女性の活用が、CSR、人権、企業活動の成長のために不可欠であるという認識が重要である。
・ ダイバーシティ・マネジメントの推進が企業の持続的な成長に重要である。
・ 女性活用拡充には、MOT、トップ・マネージメントの参加が重要である。
・ 柔軟な働き方によるビジネス・コンティニュー域の拡大が望まれる。
・ 女性に経験を積ませ、決定権を持たせ、メインストリームにおいて女性を採用する必要がある。
・ トップに成功例も見てもらう必要がある。
・ 平等の観点(理念的な観点)からではなく、女性の活用が日本社会の運用に不可欠であるという(現実的な利益の観点)から危機感を待つ必要がある。
・ 育児の観点からは、育男(イクメン)を増やす努力をすべきである。
・ ジェンダーを、障害、年齢、国籍を含めた、様々な職場のダイバーシティの一要素として相対化させる必要がある。
・ グローバル人事、フロンティア人事、ダイバーシティ人事は、企業の創造性を高める。
・ 託児所、保育所の拡充など、女性の育児における負荷を軽減させる必要がある。
・ 家庭教育が重要である。
・ 家庭(夫婦間)での話し合いが不可欠である。


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